今年一年は、ひとことで言うと、超マルチタスクな一年でした。。
働き方改革の流れもあって、昔より残業時間は減りましたが、忙しさの質が変わった感じです。
昔はひたすら1つの事に突き進んでれば良かったのですが、今は同時に平均5案件くらいをさばかないといけない。
やりたいこと、やらないといけないことは無数にあるのに、身体は1つしかないからついていかない。。
このご時世、仕事に恵まれるのは素晴らしいことですが、そんな息苦しさも感じた1年でした。
自分のクローンを作りたいくらいです(笑)
求められる立場も技術からビジネスの創出やマネジメントにシフトしてきました。
ただ、私自身は何歳になっても技術を追い続けることは大切だと思っているので、オフの時間を使って
何とか技術にも触れることができたと思っています。
この1年を振り返ると。。
1月、いきなり年明け早々、Salesforceの設定不備に起因する情報漏洩が話題になりました。私の参加していたプロジェクトもSalesforceを使っていたので、それなりに深く調査したのですが、非公開のWeb APIエンドポイントが悪用されるということで、APIセキュリティについて考える良い機会になりました。
3月は、日米制御システムサイバー演習を初のリモートで開催しました。制御システムという実機がキーになる演習をリモートで、
しかも初対面の各国からの参加者が集う中、無事成功できたのは、素晴らしい関係者が協業した賜物だと思います。
4月は、名工大ドクターとしての初の国際学会"Efficient Industrial Control Systems risk assessment using the attack path to the critical device" を発表。国際学会も現地に行けなくなってしまって、とても残念です。。
7月、2016年頃からずっと温めていたActive Directoryのセキュリティログ調査ノウハウを"NEC Active Directoryセキュリティリスク診断サービス"として、ついにリリース。
当初、一緒に調査をしていた方といつかサービスとして世に出せるといいですね、という話をしていたので、実現して感慨深いです。
研究発表やカンファレンスでの発表も大きな達成感がありますが、商用として世に出すのはまた違った達成感がありますね。
8月、私がセカンドオーサーの論文"Cyber Security Risks of Technical Components in Industry 4.0" を発表。
Industry 4.0ネタも、調査、実験共に苦労したので、セカンドでありながら、こちらも嬉しかったです。
やっぱり、あまり世に情報がないものをネタにすると、手探り状態なので、楽しい反面、苦労も多いです^^:
また、8月は卒業者向け講義もあり、Azure ADセキュリティをネタとしました。
今までオンプレのADしかやってこなかったので、良い勉強になりました。
それにしてもGolden SAML Attackの再現には同僚と共に苦戦しました。。(苦笑)
ちなみに、Golden SAML AttackもAzureのWeb APIが悪用されるのですが、APIのセキュリティって難しいですね。
ゼロトラでは必須の要素ではあると思いますが、APIの目的がそもそも自動化なので、多要素認証などの
セキュリティを組み込むと、どうしてもトレードオフになってしまいます。
ゼロトラスト がバズっているものの、この辺りはまだ深く議論されていない気がするので、新しい研究やサービスの
ネタにならないかなーと思っているところです。
脅威度が高い話題になった脆弱性系も多かったですね。
PrintNightmare(CVE-2021-34527)、Log4j(CVE-2021-44228/CVE-2021-45046/CVE-2021-45105/CVE-2021-44832)、Kerberos 権限昇格(CVE-2021-42287/CVE-2021-42278)など。
これ以外にWebLogicのRCEの脆弱性(CVE-2021-2394)などもあり、久しぶりにJava系の脆弱性検証をたくさんやった年でした。
また、業務以外では、名工大ドクター2年目として、今は名工大のDCS模擬プラントでペンテストをしています。
DCSは、従来のSCADAとは構成が少し異なっていて、AD環境+全て二重化されているため、プラントに影響を与えるレベルの攻撃が
容易ではなさそうです。
ただし、アカウントが全部ADで一元管理されているので、ドメイン管理者権限を取ると、全てのマシンにログインすることができます。
二重化されているのでプラントに直接影響を及ぼす悪さは難しいものの、システムの一部に影響を与える監視の妨害などはできそうなことが分かってきました。
振り返るとあまりプライベートがなく、仕事と研究に費やした1年でしたが(笑)、とても中身が濃くて、有意義な1年だったと思います。
同僚が言っていた、"休日に本当に休んでいると、周りに置いていかれる"という言葉が印象に残っているのですが、周りを見ると、やはり"この人はすごい!!"と思う人は、(良い意味で)仕事とプライベートの区別なく、自分を磨かれている気がします。
私はそこまでにはまだ遠いですが、(外見ではなく)、中身が劣化しないように、自分を磨いていきたいと思います。